
夏のなごりと秋のはじまりが微妙に移ろう9月。鎌倉にようやく静けさと落ち着きが戻り始めます。和らいできた日射しにやれやれと少し気を緩めつつ、秋の気配に導かれるように歩く鎌倉の小道。風も音も、なんだか妙にしっくりとくるような。
今回は長谷方面のお話。9月の長谷と言えば、18日に御霊神社で行われる面掛行列は外せません。御霊神社は長谷駅と極楽寺駅のちょうど間くらい、江ノ電の線路の前に佇む小さな神社ですが、毎年この日には大勢の見物客が押し掛けます。天狗の面をかぶった猿田彦が行列を先導し、二頭の獅子頭が続きます。その後には爺・鬼・異形・鼻長・烏天狗・翁・火吹男・福禄寿・おかめ・女のお面をつけた十人衆が続いて町を練り歩きます。後ろの二人は女装ですが、演じているのは実は全て男性。おかめはお腹に詰め物をした妊婦姿で、その後ろから産婆役の女性がおかめを扇子で仰ぎながら付いていくのですが、一つ一つのしぐさが何ともユーモラス!時おり見物客の間から笑いが沸き起こる風変わりなこの行列は、神奈川県の無形民俗文化財に指定されています。行列は御霊神社から力餅屋の前の通りにかけて見ることができますので、時間の都合がつく方はぜひ!
さて、お面の話の後は『鎌倉の顔』高徳院の大仏様のことを少しだけ。定番中の定番ですが、あの大きな体が少し前かがみになっていることにお気づきでしたか?また、頭の部分を含む上体部も下部に比べて大きく作られているそうで、そう言われて見ればそうだったような気もしてきます。これらの工夫により、大仏様から少し離れて仰ぎ見た時に自然なバランスで目に映るのだそうで、なるほどという感じですね。ややうつむきがちなそのお顔は「美男におわす…」と歌に詠まれたように穏やかで端正ですが、それと同時に、750年以上もの長い間一人でこの場所に佇んできた大仏様の孤独さをも感じてしまいます…秋ですね。別途20円で大仏様の胎内を拝観することもできます。背中のあかり取りの窓からほんのりと光が射し込む大仏様の胎内。孤高の大仏様との距離が少しだけ縮まったような気がするかも?
「せっかくだからもっと秋の気配を感じたい」という方は、ぜひ長谷寺に立ち寄ってみて下さい。しおらしく優しげに境内を飾る萩の花が、秋の訪れをそっと告げてくれるでしょう。萩を眺めながら階段を登り、境内上の展望台へ。清々しく澄み切った秋空の下、青く穏やかに広がる海を眺めて気分もスッキリ爽快です!
〜鎌倉ケーブルテレビ・チャンネルガイド2007年9月号掲載〜
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