鎌倉好き集まれ!山田海人さんの鎌倉リポート・第6号(2005年5月11日)

義経の乗った馬は?

鎌倉時代義経の乗った馬はどんな馬なのでしょうか?

義経の乗った馬は?

 皆さんは日頃きれいな景色、美しい花など見慣れておられるので今回は少々クレームがでそうな写真です。 ですがこの写真には鎌倉時代の情報、歴史を超えたロマンがあるのでちょっとガマンして見て下さい。義経が乗った馬はどんな馬だったのでしょうか? 大きさは? 体型は? 北方系か?など次第に明らかになる情報がこの馬の歯に入っています。


 鎌倉の海には、写真のように馬の歯が時折打ちあがります。どうして馬の歯と判るのかと質問が出ますが、草を噛む、噛み合わせの部分に特徴があるので馬の歯と判断できます。では、なぜ馬の歯が海岸に打ち寄せられるのでしょうか?、最近出版された「鎌倉地図草紙」によると鎌倉で死んだ馬などが海辺近くで解体されている様子が描かれています。また、裁判所の建設予定地の史跡調査では、「いくさ」で傷つき死んだ鎌倉時代の武士の骨や馬の歯などが出土していて、今では“骨塚”も建てられています。


 馬の歯は、雄が40本、雌が36本と数が異なります。雄には上下4本の犬歯が多くあって40本になります。 年齢によって噛み合わせの部分がすれたりとおおよその年齢も判るようです。
 鎌倉の浜は、遠浅が続く内湾性の海ですから、昔からの堆積物(陶片、骨、歯など)が沖へ流されずに砂泥の中で長い間眠っていたものが、うねりなどで打ち上げられたものもようです。

 
 私がこれまで集めた馬の歯をINAXギャラリー漂着物考展(名古屋、東京、大阪)に出品しました。また、印刷物にもなって、鎌倉の馬の歯が有名になりました。鎌倉以外でも古戦場をひかえた海辺には馬の歯が打ちあがると想像していましたが、全国それぞれのビーチコーマーからは報告もなく、今でも馬の歯が打ちあがるのは鎌倉だけのようです。 


 興味ある方はぜひ鎌倉時代、義経の馬をイメージして浜辺で馬の歯を探してみませんか?

これまで多くの馬の歯を拾いました。 馬以外に牛の歯も
含まれています。 歯はサメの歯と同じで長く残っています。
骨は海水に触れているとやがて溶けてしまうようです。

中央の細い歯は雄だけにある犬歯です。その左は大臼歯(奥歯)です。