ほぼ週刊サキドリニュース

2023年6月27日付の記事
企画展「大佛次郎没後50年 季節の彩り ―清方が描いた美人挿絵―」

戦後、清方が鎌倉に移り住んでから最初にとりかかった仕事のひとつに雑誌『苦楽』の表紙絵の制作があります。『苦楽』は同じく鎌倉に住んでいた文学者・大佛次郎(1897-1973)が創刊・主宰した文芸雑誌で、「社会人の文学の洗練と円熟」を旨として豪華な執筆陣や画家を迎え、昭和21年に創刊されました。
大佛から強い要望をうけた清方は、その熱意に応えて創刊号から表紙絵を担当し、昭和24年8月号まで四季折々の風俗に取材した美人画を描きました。その上、雑誌の呼び物であった「名作絵物語」へも作品を提供していました。亡くなるまで『苦楽』を手元に置いていた清方、彼にとり『苦楽』での仕事はやりがいのあるものでした。
本展覧会では、雑誌『苦楽』と表紙絵の下絵を中心に、季節の風情豊かな作品や口絵を展示し、清方と大佛次郎の関わりを紹介します。